サウナと言えばフィンランドのイメージですが、近隣エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国にも各国それぞれのサウナの文化があります。今回は、バルト三国のサウナの特徴をご紹介します。
目次
エストニアのサウナ
歴史
「Sauna(サウナ)」というワードはフィンランド語から来ているものですが、エストニアではサウナのことを「Saun(サウン)」と言います。
残っている文書記録によると、遅くても13世紀からエストニアではサウナ入浴文化があったことがわかっています。歴史的にはサウナは入浴だけでなく、分娩室や死期を見届ける場所としても使われていたそうです。
ユネスコ無形文化遺産にも登録されたスモークサウナ
2014年には、エストニアのVõromaa(ヴォルマー)地方の伝統的なスモークサウナが、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
スモークサウナは、煙突がなく、薪を燃やすことで生じる煙をサウナ室内に循環させます。薪ストーブサウナとの入り方の違いは、薪を燃やし切ってから入るという点です。煙突がないので、薪が燃えている間は煙で咽せますし、一酸化中毒の危険もあり、サウナを楽しむことはできません。7〜8時間ほど薪を燃やし続けて温めた後、通気口から程よく煙を出して初めて楽しむことができる、貴重なサウナです。
スモークサウナ自体は、フィンランドにもありますが、より伝統が残されているエストニアのものが、ユネスコに登録されたようです。
現在のエストニアサウナ
現在でも、サウナは広く浸透していて、家を建てるときには、まずサウナ小屋から建てるといいます。エストニア建築物登録によると、国民の13人に1つにあたる100,100以上のサウナがあるそうです。さらに実際には、その2倍はあると言われています。
Estonian Rural Tourism Organization(エストニア地方観光局)によるウェブページ「Sauna2023」で紹介されているだけでも、29種類のサウナがエストニア中にあるのがわかります。
日本でもメジャーなスーパー銭湯もあります!
2023年はサウナの年!
2023年は「Year of Saunas in Estonia(エストニアサウナの年)」と定め、サウナやその慣習を広めるため、エストニア地方観光局が中心になって活動を行っています。サウナに関する授業を毎週オンラインで世界中から受講できるサウナ大学を開催していたり、一年を通してサウナのイベントがいくつも開催されます。
これほど国をあげてサウナを推し出すほど、サウナはエストニアの生活の一部になっています。
ラトビアのサウナ
歴史
サウナ儀式とサウナマスター
サウナ儀式は、「サウナマスター」というプロによって3〜4時間もかけて行われます。このサウナマスターになるには、合計2年半の勉強と試験への合格が必要とのこと。
自然との融合をとても大事にしていて、儀式の合間のハーブティーやウィスキングの葉などもサウナマスターがこだわって厳選します。
サウナミュージアム
ラトビアには、2008年にサウナミュージアムもオープンしました。首都リガから40kmほどのところにあります。
ラトビアの各地域から持ってきた6つ、新しく建てられた1つ、合計7つのサウナがあります。今後20ほどに増やす計画があるそうです。どのサウナも使えるそうですが、一番のおすすめは最も古いタイプの「ブラックサウナ」だそう。
サウナの歴史や文化を学んだり、実際にサウナを体験できる素敵な施設になっています。
リトアニアのサウナ
歴史
リトアニアでは、サウナは「Piritis(ピルティス)」と言います。葉で体を叩くウィスキングは、リトアニアで発祥したと言われています。
スチームサウナとトリートメント
温度は60℃前後と低めで、湿度が高めなのが特徴です。リトアニアにもサウナマスターがいて、サウナ儀式の風習もあります。4時間ほど続くサウナ儀式の中では、はちみつ、オーク、琥珀などリトアニアで大切にしている自然のものを使って、スクラブやトリートメントが行われます。さまざまなウィスキングやトリートメントが開発されていて、スパの文化も広がっています。
琥珀サウナも
リトアニアには、世界初の琥珀サウナもできて話題になっています。パランガ地域のスーパー銭湯的な施設「Atostogų Parkas」の中にあります。椅子も壁も琥珀で埋め尽くされていてとってもゴージャスです!
サウナはフィンランドだけじゃない
今回は、バルト三国のサウナ文化をご紹介しました。その他にも、ドイツやロシア、あらゆるところでサウナは根付き独特の進化を遂げています。日本でも人気のサウナですが、海外に目を向けてみるとまた新たなサウナ文化を発見できるので、ぜひ世界各国でサウナを巡ってみてください。