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ハコボ&マリア・アンヘレス工房
2024/07/01   2024/07/03

ディズニーピクサー映画『リメンバー・ミー』に出てくるアリブリへは、メキシコのオアハカの民芸品が元になっています。実際のアリブリへの歴史について、またオアハカ現地の有名な工房「ハコボ&マリア・アンヘレス工房」について、ご紹介します。

目次

    リメンバー・ミーでのアリブリへの役割

    ディズニーピクサー映画『リメンバー・ミー』に出てくるアリブリへは、死者の国で死者が迷わないよう手助けする重要な役割を担っています。

    カラフルな見た目で、複数の動物を掛け合わせたような見た目をしています。『リメンバー・ミー』の中では、犬のダンテや猫(?)のペピータなどが出てきました。

    アリブリへの歴史

    アリブリへ(Alebrije)は、メキシコのオアハカの民芸品である木彫り人形です。

    1936年、メキシコシティに住んでいたペドロ・リナーレス(Pedro Linares)という芸術家が重い病気で寝込んでいたときに、恐ろしい生き物が「アリブリへ、アリブリへ…」と唱えている夢を見て、回復後それを紙素材で形にしたのが始まりと言われています。当時は、かわいいと言うより、恐ろしい見た目をしていました。

    ペドロのアリブリへ作品(写真:Wake Forest University)

    その後ペドロは、オアハカのアラゾラ村生まれのマヌエル・ヒメネス(Manuel Jimenez)という木彫り職人に出会い、彼が紙の代わりに木彫りで色鮮やかな生き物を作ったことをきっかけに、今日のアリブリへの形が生まれ、周りの職人たちに広がっていき、オアハカの民芸品となっていったそうです。

    アリブリへ オアハカ

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房

    今日、アリブリへ界を代表する工房と言われているのが、オアハカのサンマルティンティルカヘテへ村(San Martín Tilcajete)にあるハコボ&マリア・アンヘレス(Jacobo y María Ángeles)夫妻の工房です。『リメンバー・ミー』の制作陣たちも実際に訪れたと言われています。

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房

    この工房は、ハコボさんとマリアさん夫妻によって、雇用の創出、技術継承、職人たちの成長、経済発展などを目的として、1994年に設立されました。若い職人たちが集まって学ぶ、美術学校として機能しています。プロになるには平均6年ほどかかるそうです。

    工房の中は、無料で見学が可能で、スタッフの方が丁寧に工程やここの作品の特徴などを説明してくださいます。

    アリブリへの制作工程

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房で教えていただいた、アリブリへの制作工程をご紹介します。

    木彫り

    最初は、木彫りのプロセスです。コーパルの木を丁寧に削り、アリブリへを形づくっていきます。

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房

    通常の大きさ一体彫るには、1週間ほどかかるそうです。

    乾燥

    木彫りが終わったら、乾燥させます。ガソリンに浸して、虫や虫の卵を除去したりもします。

    ひび割れをコーパルの破片やおがくずで埋めたり、やすりで削ったり、細かな作業が発生します。乾燥には、通常のサイズで2ヶ月かかるそうです。

    色付け

    最後に色付けの工程となります。どのように絵の具を作っているかも、スタッフの方が丁寧に説明してくださいました。

    43種類の色を、天然素材で作り出しているのだそう。

    まずはベースとなる色を塗って、1ヶ月様子を見るそうです。

    その後丁寧に色付けをしていきます。ハコボ&マリア・アンヘレス工房の作品では、オアハカのサポテコ族の文字を元にした細かい柄が描かれています。とても繊細な作業に見ているこっちが緊張してしまうほど。

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房

    こうして絵付けには、1年もかかるそうです。

    大きなアリブリへも

    工房では、人よりも大きなアリブリへの制作工程も見ることができました。大きいものの絵付けには、ガラス繊維の絵の具を使い、外でも虫に食べられないような工夫がされているそうです。

    巨大なアリブリへに綺麗に黙々と絵付けをしている様子は、ただただすごいなと感心せざるを得ません。

    ギャラリーとショップ

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房には、ギャラリーとショップが併設されています。

    ギャラリー

    ギャラリーには、ハコボ&マリア・アンヘレス工房のプロ職人たちの作品が並んでいます。どれも息を呑むような美しい作品ばかり。

    自分のスピリチュアルガイドが分かる

    さらに、ギャラリーの中にはサポテック・カレンダー(Zapotec calender)という展示があります。サポテコ族によるこのカレンダーでは、20種類の動物がいて、人にはそれぞれ自分を守ってくれる動物と、スピリットガイドとして導いてくれる動物が定義されているのだそう。まさに『リメンバー・ミー』に出てくるアリブリへのよう!(または動物占いを思い出します。)

    誕生日によってその動物が決まっているので、その場で自分の動物を教えてもらうことができました。

    私はプロテクターが蝶々、スピリットガイドがカメでした。自分の動物のアリブリへを探して購入するのも、メキシコ滞在のいい思い出になりそうです。

    ショップ

    さらにショップでは、ハコボ&マリア・アンヘレス工房にちなんだグッズや、工房の卒業生たちの商品を購入することができます。卒業生たちを応援するために、マージンは取らずに販売しているそうです。

    オアハカ市内からの行き方

     

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房は、オアハカの中心部から、車で40分ほどで行くことができます。個人で車をチャーターしたり、現地発のツアーに参加して行きましょう。

    ツアー利用であれば、日本発の、世界中で14,000種類以上の海外オプショナルツアーを提供している「ベルトラ(VELTRA)」が安心です。特に、現地に住んでいる日本人の方が案内してくださるこちらのツアーがおすすめです。

    現地民芸品のプロ「さる屋」と行く!可愛いメキシコ雑貨を巡る工房訪問プライベートツアー<専用車または公共交通機関利用/貸切/オアハカ発着>

    日本からの注文も可能

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房の作品は、オンラインストアがあるので、日本からも購入が可能です。

    さらには、リクエストを伝えて特注の作品を作ってもらうこともできます!詳細はウェブサイトに記載されていますが、動物、サイズ、色など希望を伝えると、見積もりを出してもらえるようです。人間は作れないそうです。制作を開始してもらうには、30%前払いが必要です。

    サイズや待っている人の人数で変動するとは思いますが、オーダーしてから完成までは通常8ヶ月〜1年ほどかかると記載されています。色付け工程に入ると、半月ごとくらいに進捗状況を写真で報告してもらえるそうです。完成後、残りの金額と送料を支払って届けてもらいます。

    通常、数万〜数十万円かかりますが、一度ハコボ&マリア・アンヘレス工房の作品を見ると、他とは一線を画すクオリティなのが一目瞭然です。私もいつかオーダーしたいなと思っています。

    まとめ

    『リメンバー・ミー』にも出てくるアリブリへは、オアハカのメジャーな民芸品です。オアハカ、さらにはメキシコのあらゆるところで制作・販売がされていますが、中でも最高品質のアリブリへを制作している「ハコボ&マリア・アンヘレス工房」では、綺麗なアリブリへを見るだけでなく、その制作過程までを見学することができます。

    オアハカを訪れる際には、ぜひハコボ&マリア・アンヘレス工房も訪れてみてください。

    ハコボ&マリア・アンヘレス工房

    営業時間:8:00 〜 18:00

    電話:+52 951 524 9027

    住所:Libres 5, Col. Centro, 71506 San Martín Tilcajete, Oax., Mexico

    ウェブサイト:Jacobo & María Ángeles